津曲泰弘×梅内道子

Introduce出会い

津曲どの映画にも出演されているような名脇役の役者さんっていますよね。洋菓子にとって杏はそんなフルーツ。苦味が少なくレモンよりもやさしい酸味が、他の素材の邪魔をしない。だから必要な存在なんです。

梅内さんは、杏は「大実(おおみ)」、「山形」、「八助(はちすけ)」の三種類を栽培されていますが、八助は大柄な実と肉厚な食感、そして何より甘味、酸味ともに多いのが特徴の、この地域で古くから栽培されている品種。当店のクッキー・ティービスとの相性が良く、八助にしか出せない自然な風味と酸味は僕にとって最高の出会いでした。だから、八助に呼ばれて僕が東北に来たぐらいの感覚ですし、八助に出会えたおかげで地域にちなんだお菓子が作れたと思います。これからも八助のティービスを大切に作り続けたいです。

ところで、杏は生食で沢山生産するイメージが無く、塩漬けやジャム等の加工用として価値のあるフルーツなのに、梅内さんはなんでこんなに愛情を持って育てられるのでしょうか?

Message生産者さんからのメッセージ

梅内杏は確かに全国的に生食されないフルーツですが、私たちが小さい頃から梅漬というと杏の梅漬で、昔から杏は身近にあったんです。ここの畑では、梅、大実、八助をバラバラに植えてますが、それはたぶん50年以上前に植えられた時のまま。私が生まれた頃の祖父の代にはあって、私にとってはこれが当たり前なんです。そして、野菜農家はその年から収穫できますが、果樹農家は木を植えただけでは収穫できません。私は一回外に出てUターンしたので、ずっと続いてきていることのありがたさにあらためて気付きました。

また、昔は津軽ではりんご農家はりんご畑だけを作ることが多かったけれど、南部町のある青森県県南地域では、りんごを植えつつ他にも栽培し、春から順番にいろんなものが採れるように工夫していて、それもこの地域ならではなんですよ。Uターンしてから、それも地域の特色だと感じています。

杏のティービスを初めて食べた時、クッキーのサクっとした感じから杏のジャムのところで食感が変わって、そのジャムが少し酸味があって爽やかで。これはすごい美味しいと。梅漬やジャムとは違うかたちで美味しくしてくれるんだと感激しましたし、梅漬やジャムとは違う方々に八助のジャムを使ったお菓子が広まっていくと想像すると、すごくうれしかったです。だから、私も何枚も買ってみんなに配って宣伝していますよ。

杏の木も古いので実を付けない時も出てきますが、こうやって実を付けてくれると嬉しいし、家族みたいに大切に思っています。たぶん全部の果物がそうですが、木は自然のものなので、気候によって硬さや甘さがちょっと違ったりしますが、その違いも自然のアジかなぁと思います。この木も頑張ってるので、これからも杏を作り続けますよ。

梅内果樹園

曾祖父の代から続く果樹園。少しずつ農地を広げ、現在ではりんご、ネクタリン、梅、杏、和梨、洋梨を栽培しており、特にネクタリンは大柄でパティシエの方たちにも評価が高い。植物と向き合って大切に育てたものが喜んでいただけること、食べてくれる人の笑顔を励みに、日々農業に勤しんでいる。なお、道子さんは四代目を目指す農園の『裏ボス』。

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