津曲泰弘×奥富康裕・雅浩

Introduce出会い

津曲「抹茶の味を、しっかりと味わっていただきたい」
そんな気持ちで、若いスタッフ全員で協力して作っている抹茶のロールケーキがあります。
このケーキに使っているのは、埼玉県狭山市の奥富康裕さんが作る抹茶です。「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と言われる狭山茶の特徴は、コクのある深い味わいです。抹茶の原料である碾茶(てんちゃ)は、奥富園さんで作っている「おくみどり」と「さみどり」という品種です。奥富さんの抹茶でなければ、この味は出せません。

当店の抹茶のロールケーキは、しっとりとした口当たりに仕上げた生地、複数の牛乳をブレンドして調整した生クリームや小豆の豊かな風味で、主役である抹茶をいっそう引き立てています。

私の実家は洋菓子店です。父は素材にこだわる人で、とにかく生産者の方と一緒にお菓子を作るのが良いと話していました。父の言葉に共感し、良い素材を使ってお客様に満足していただけるよう、工夫しています。


Message生産者さんからのメッセージ

奥富奥富園は狭山で江戸時代から続く茶園です。個性ある品種を時期をずらして収穫できるように、煎茶、抹茶のほか、玉露、紅茶用など、全部で15品種を栽培しています。埼玉県内で15品種も作っているのはおそらく2軒くらいじゃないかな。

もともと狭山には抹茶はなかったんですが、2005年に関東初の碾茶工場「明日香」を立ち上げ、狭山での抹茶づくりが始まったんです。今は、抹茶用の茶葉を10人ほどが栽培しています。

抹茶は非常に奥が深くてむずかしいですね。積み重ねもあるけど、毎年新しい発見もある。
さらに、同じ品種を大量に作ろうとすると、収穫時期が重なったり畑の連作障害の回避も考えなければならない。だからこそ私たちの園では、選択肢を増やすようにたくさんの品種を栽培しており、それぞれの特性が非常によく現れるんです。

8年前、15代目となる息子に経営を引き継ぎました。息子は今、萎凋茶(いちょうちゃ)にチャレンジしています。萎凋とは、茶葉を風通しの良いところに置いて、あえて萎(しお)れさせて作るお茶の製法です。うちはハウスで萎凋していますが、これは全国で初めての取り組みなんです。

これまで、「試しにやってみましょう」という気持ちで、抹茶も萎凋茶も試行錯誤しながら挑戦してきました。萎凋茶は息子と一緒にやってるけど、息子の奥さんにも「なんか楽しんでるみたいだね」と言われます。お茶はそれぞれ個性があるから、おもしろいですよ。

ヤスヒロさんの抹茶のロールケーキは、お抹茶の味がしっかりしていますね。あずきもおいしい。クリームも牛乳の味がしっかりしているし、それでいてボリュームがあるのがうれしい。こんなにおいしいのは初めてです。

奥富園

埼玉県狭山市で江戸時代より続くお茶農家。父の奥富康裕さんから息子の雅浩さんに経営が移譲され、現在15代目。畑から製造・仕上げ、小売までを一貫して行う『自園自製自販』のスタイルで、ひとつひとつのお茶をていねいに作っている。煎茶、深蒸し茶、萎凋茶、焙じ茶、粉末緑茶、和紅茶、抹茶など、さまざまなお茶を通じて、人々の暮らしを豊かにする提案をしている。

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